2014/10/07

カルパチア地方の木造教会群 スモルニク Smolnik












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2013年に世界遺産に登録されたカルパチアの木造教会群のひとつであるスモルニクの東方典礼教会は、ウクライナとチェコ国境線に近い、ポーランドの秘境にある。


このスモルニクという土地は、第2次世界大戦後に一時ソ連領となっていた村だが、 1951年にポーランドに返還された。その際にはこの土地の住民はリヴィウに 強制移住させられ、村の建物はすべて解体されてしまい、無人状態での返還だったという。

だが、1791年築のこの教会は無事に残った。 戦前にこの教会が修復されたのは、1921年で、その際には主に屋根をトタンに葺き変える工事が中心であった。51年に信徒たちがこの土地を去ったのち、教会堂は農業共同体の倉庫として利用されるなどして、かえりみられないまま風雪にさらされてきたのであった。
そして1969年に修繕工事が再び行われ、4年後の1973年からはローマカトリック教会として再び利用され始めた。 内部の東側の東側の壁には18世紀末の 多彩装飾壁画が残る。教会自体は国道から400メートル程はなれた小高い丘の上に静けさにつつまれて佇んでいる。


カルパチアの豊潤な自然と静寂の世界の美しさをたっぷり堪能できる秘境にあるといってもよいだろう。建物の東側には19世紀に設置された墓地があり、その向こうには羊たちがのんびりと草を食む。なんとも牧歌的な景色である。

教会堂は木を組み合わせて作られており、入り口部分の前室、身廊、内陣の三層構造で、土台は石造りとなっている。 教会のなかにはいると、天井に角を利用したシャンデリアがあり印象的だが、多彩装飾画以外はその昔を感じさせてくれるものはあまり残っていない。 なんとなく湿気た木のにおいがする。


逆光をいっぱいに受けてしっぽをぴんと上に立てた猫が白黒のふんわりとした毛を震わせながら入ってきて、見学者の足元にまとわりついてくる。「キチキチ…」とポーランド風の呼びかけをするとぐるぐるといいながら怖がる様子もなく近寄ってくる猫だった。