2015/07/21

ワルシャワ歴史地区の光と影

ワルシャワ歴史地区

ワルシャワ歴史地区が世界遺産に登録された条件のひとつが、もともとの旧市街と同じ時代の建築素材が用いられたからと聞いていたのだが、これまでその建築素材がどこから調達されたのかについて落ち着いて考えてみたことは残念ながら一度もなかった。

それが、先日、ひょんなことがきっかけで首都再建の合言葉のもとに敗戦まではドイツ領であったポーランド北部や西部の都市や町(ヴロツワフ、レグニツァ、シフィドニツァ、シチェチン、コウォブジェク、エルブロンク、マルボルク等々)では、歴史的にも価値が高く、しかも戦災も受けることなくまだ十分に使用に耐える建造物を多数解体してレンガ強制供出のノルマを達成していたということを知った。
  
たしかにバルト海沿岸の都市やポーランドの西部や南西部の都市には何となく景観が不自然な旧市街がよくある。石造りの古い建物が並んでいるかと思えば、突然、虫歯の穴のように社会主義的な集合住宅が広場に面した場所にあったり、エルブロンク(下の写真)やコウォブジェクの旧市街には古い建物はほとんどなく、昔風に今の建築素材でモダンにアレンジして建て替えた新しい集合住宅が続いているといったものだ。
  
旧市街の礎となった数多の歴史的建造物からの建築素材はワルシャワに新たな生命を与え、旅情あふれる歴史地区はショパンの時代、いやそれよりももっと昔の時代と変わらないままの美しさで旅人を迎えてくれる。一見しただけでは、再建されたものであるとは知っていてもなかなか実感が伴わない。それほど見事に戦前の姿が復元されているのである。


新しい建物が続くエルブロンクの街並み

中世に築かれたレンガの壁